Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠2

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

「また来やがったな」

とんぼ口から飛び出したのは、一人の子供……身の丈は四尺ぐらい、諸肌脱ぎで、手に一本の竿を持って、ひょいと飛び出したところを見れば、誰も子供が出たと思います。

しかしよくよく見れば、子供ではないのでありました。面は猿のようで口が大きい、額には仔細らしく三筋ばかりの皺が畳んである。といって年寄ではない、隆々とした筋肉、鉄片を叩きつけたように締って、神将の名作を型にとって小さくした骨格。全体の釣合いからいえばよく整うていて不具ではないが、柄を見れば子供、面を見れば老人、肉を見れば錚々たる壮俊。

ことにおかしいのはその頭で、茶筅を頭の真中で五寸ばかり押立てている恰好たらない。

「こん畜生」

いきなり手に持っていた長い竿を秋草の植込の中へ突っ込んで引き出すと、その先へ田楽刺しに刺された黒いもの。

「ざまあ見ろ」

揚々としてその竿を手元に繰り込んで来ると、その竿の先に田楽刺しになった黒い物は一疋の鼬でありました。焼鳥を串から引っこぬくように、鼬を竿の先から抜き取って、それを地面へ叩きつけると、屋根の上へ飛び上った鶏がホッと安心したように下りて来て、いま自分たちを襲うた強敵が脆くも無惨な最期を遂げたことを弔うかのように鼬の屍骸を遠くから廻って、ククと鳴いているのであります。