Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme
店にいたものはみんな表を見る。通りかかった人が逆に逃げる。牛馬が驚いて嘶く、犬が吠えて走る、鶏が飛んで屋根へ上るという騒ぎであります。
「狂犬が出た!」
ワァーッと叫びます。怖いもの見たさの店にいた連中は飛び出して見ると、ワッワッと逃げ惑う人畜の向うから、疾風の如く飛び狂って来る大きな犬があるのであります。
「ムクだムクだ、間の山のお玉のムク犬だ」
村方の方から驀然にこの古市の町へ走り込んだムクのあとを追いかけて来るのが何十人という人、得物を持ち、石や瓦を抱えている。前には役人連、そのあとから番太、破落戸、弥次馬の類が続く。
「それ狂犬だア、逃げろ!」
追いかけたのとは反対の側から、また数十人、同じく役人、岡引、番太、破落戸、弥次馬の一連。
「そうれ、逃がすな」
ムクは古市の町の左側の大榎のところまで来た時分に、前後から挟み打ちにされてしまいました。
大榎を後ろにしてムクの眼は蛍のように光る。血を浴びた首筋の毛が逆さに立って獅子の鬣を見るようでありました。
前足を組み違えて、尾をキリキリと捲き上げて、火を吹くような声で、ウォーウォーと唸って、もはやドチラへも切れることのできない囲みの中に立ち迷うていました。