Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠2

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

米友は小言を言いながらお玉を引き上げていると、

「ふだんならこのくらいのところは何でもないけれど、今は気が急いているもんだから」

「まあ、仕方がねえ。これビショ濡れだ、上着も帯も。それに向う脛を少し摺り剥いたね、痛いかえ」

「痛かあありません」

「これじゃあ道中ができねえ、そうかと言って人の家へは寄れねえ旅なんだから、山ん中へ入ろう、まだ泊るには早いけれど、どこかでその着物を乾かすところを探さなくっちゃあな」

「そうだねえ」

「エエと、あの高えのが獅子ヶ鼻という山だ、あの山の蔭へ行ってみたら、いいところがあるかも知れねえ」

「行きましょう、人が来るといけないから早く」

二人はなお南へ行こうとした道を曲げて、西の方へ道のない山ふところを分けて獅子ヶ鼻の山の下へ出ました。

四方を見れば寂然として深谷の中にある思い、風もないから木も動かぬ、日の光が、照すのでなく覗くようにとろりとしている。

「玉ちゃん、さあ着物を脱ぎねえ」

大きな樅の木の下、岩角が自然と洞になっているところ、米友はそこを見出して自分が先に荷物を卸して、

「ここなら誂え向き、その木と木の間へいま梁をこしらえるから、そこへ着物をかけて乾かしておけば、着物の乾く間、それが屋根にならあ」