Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme
「帰りましょう、お暇を致しましょう」
座に堪えられないほど凄くなりましたから、与兵衛が迎えに来るのも来ないのも考えておられずに、お玉は立ちかけますと、
「まあ待ってくれ」
竜之助は静かに呼びとめる。魔物に後ろ髪を引き戻されるように、お玉は立ち竦んで、
「何か御用でございますか」
後ろを振向くと、竜之助は手さぐりにして自分の膝のまわりを撫でて、長い刀を引き寄せて、
「せっかくお使をしてくれた、なんぞお礼をしたいが、見られる通り貧乏でそのうえ不自由の身じゃ、これがせめてもの寸志、どうかこれを受取ってもらいたい」
お玉は、またもここで奇異なる思いをせねばならぬ、こんな薄情な人でも自分にお礼をしようというしおらしい心があるのか知らと思わせられたのでありました。そうして、この中でお礼とは何かと見ると、刀の下緒の間に挿んであったと覚しく、それを抜き出して手に持ったのは、意外にも一本の銀の平打の簪でありました。
「まあ、この簪をわたくしに……」
思いがけないものを出されたから、お玉は三たびここで奇異なる感に打たれたのでありました。
「これはあり合せ、そなたの年頃に似合うか似合わぬか、それは知らぬ、下り藤になっているはずだが、それでも差料にさわりはあるまい」