Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme
ほどなく二階の二番の部屋から女中に手を引かれて静かに出て来た人、がんりきと七兵衛が多年の老巧を以てしてついに何者であったか見抜けなかった人。
女中に手を引かれて歩いて来ても、やっぱり何人であるかはわからない。それは黒の井桁の紋付の羽織と着物を重ねていたが、面と頭は黒縮緬の頭巾で隠していたから。
女中に手を引かれたのは眼が不自由なためらしい。そうして、脇差を差して刀を提げて、悠々と店先まで出て来ると、駕籠の垂が上ってその中から姿を見せたのはお絹。
駕籠につづいて馬が来る、その馬には明荷が二つ、いずれも井桁の紋がついている。そうすると、二階から下ろされたのは、ゆうべ問題になった朱漆の井桁の葛籠。
二つの駕籠が勢いよく乗り出すと、つづいて葛籠を載せた馬の鈴の音。
「見たかい」
「見た」
「あやつは盲目だぜ」
「盲目だ」
「後ろの駕籠を見たかい、後ろのを、あの女を」
「その女が、俺の知っている女だから不思議だ」
七兵衛はこう言う。
「兄貴、あの切髪の女をお前が知っているのかい」
がんりきが不審がる。
「知っている、たしかに知っている、言葉をかけようと思ったが、かけちゃあ悪かろうと思ってかけなかった」