Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠2

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

それでお絹は力をつけてやる気になったのか、またはこの人に滅入られては、自分が淋しくてたまらないからであるか、つとめて元気らしくして話をしかけます。

「あの宇津木兵馬という人は、年は若いけれども、なかなか腕は出来る人ですね」

「ふむ」

竜之助は軽い返事。

「あの人のお師匠さんが豪い人ですってね」

「それは豪い」

竜之助の面が上る。

「御存じですか」

「知っている」

「島田虎之助という……」

「そうそう、島田虎之助」

「その先生とお立合をなすったことがおありなさるの」

「ない」

「あなたよりお強いのですか」

「…………」

「あなたの剣術のお流儀は、たしか甲源一刀流でございましたね」

「もとはそうであったが」

「島田先生は直心陰だということではありませんか」

「そう、直心陰」

こう話しかけていると竜之助の面に、ありありと幾筋かの苦悶が現われるのであります。

「けれども、その島田先生もかわいそうなことをなさいました」

「かわいそうなこととは?」

竜之助は聞き耳を立てる。

「まだお聞きになりませんか」

「まだ聞かない」

竜之助は、我知らず声がはずむ。

いろいろの人にも会い、いろいろの目にも遭ったけれど、要するに竜之助の眼中に残り、脳裏に留まって去らざるはただその人あるのみ。