Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠2

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

「そうおっしゃられると……」

お徳は竜之助の面を仰いで見て、気の毒そうに、

「それでは、歌ってお聞かせ申しましょう、お笑いなすってはいけませぬ」

「どうぞ頼みます」

お徳は槌を取り直して軽く拍子を取りながら、

甲州出がけの吸附煙草

涙じめりで火がつかぬ

旅をして歩く時に興に乗じてうたう歌、危険な山坂を超ゆる時、魔除を兼ねて歌いつけの歌、心なく歌っても離愁の思いが糸のように長く引かれる。

「ホホホ、こう歌いますと、なんとなく情合が籠っているようでござんすけれど、この替歌に……」

と言ってお徳は直ぐに、

甲州出る時ゃ涙で出たが

今じゃ甲州の風もいや

と歌い、

「こうなってしまいますから薄情なもので……まだわたしたちの中でうたいます歌にこんなのが」

道中するからお色が黒い

笠を召すやら召さぬやら

それから最後に、

生れ故郷の氏神さんの

森が見えますほのぼのと

三十を越したお徳も、土地の歌をうたう時は乙女の心になる、鄙の歌にも情合が満つれば優しい芽が吹いて春の風が誘う。

六

山の娘たちはいったん帰って来たけれど、また暫らくして旅に出かけなければならなくなりました。今度は郡内から東の方へ出ようということになりました。