Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme
お玉を併せてムク犬をも見逃さないのであります。
古市の町には、茶屋があり遊女屋があり見世物もあり芝居もあるのに、そのなかで、通りかかるお玉の姿が人の口の端にのぼるほど、それほどお玉は土地の人にも旅の人にも覚えられているのでありました。
そうして、お玉が行けば、間の山節を唄いに行くものと思われ、お玉が行くと言えば、ムク犬が跟いて行くもののように、土地の人には覚えられております。
「お玉可愛や、ムク犬憎や」
誰やらが言い出したのを、子供が覚えて、
「お玉可愛や、ムク犬憎や」
と言って、ムク犬を見かけると、最初は棒を出したり石を投げかけたりしたものでしたが、
「そんな悪戯をするものではありませんよ、怒ると食いつきますよ」
と言って、お玉がいつもムク犬の前に立ち塞がるものだから、子供はベソをかいて引上げる。
そうかと言って、ムク犬がひとりでいる時には、子供はかえってそれに近寄ることを致しません。
ムク犬はこの界隈のあらゆる犬より強いのです。ムク犬は容易に怒らず、容易に吠えないけれど、時あって怒って吠える時には、六尺の男が戦慄し、街道を通る牛馬でさえ、立ちすくんでしまうことがあるくらいですから、子供らの歯には合いません、ムク犬もまた子供を嚇すようなことは嘗てしたことがないのです。