Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme

Aozora Bunko

お君でさえが、一時は兵馬にぽーっとしていたこともある。そういう誘惑が数々あるのに、それを受けつけなかった兵馬の一徹なところは、自分としても暗に勝利のほほえみを以て迎えていたのに、今となって、色を売る女風情に、あの人の心全部を奪われてしまったとなると、お松の気象では、泣いても泣き足りないほどの口惜しさがあるのも無理がありません。

果して誰の力でも、兵馬さんを、もとの人にすることはできないのか知らん。七兵衛のおじさんは旅にばかりいて落着かないし、今、兵馬さんが、先輩として敬服しているのはここの南条先生であるが、あの先生もあんまりたよりない。兵馬さんを指導する恩人として見てよいのか、或いは兵馬さんをダシに使って嗾しておられるのか、もう少し手強い意見をして下されたら……お松はあまりの残念さに、つい人を怨んでみる気にもなりましたが、どう考えても口惜涙を抑えることができません。

ぜひなく、その金包を抱いて、泣く泣く廊下を伝って自分の部屋へ歩いて来ると、途中で後ろからその肩を叩いたものがあります。

「お松どの、宇津木にも困ったものだな」

それは南条力の声であります。