Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme

Aozora Bunko

「まあ、お話し下さいまし、わたしも退屈して困っていますから、どうぞ」

といって、お角は、さながら主筋にでも仕えるように、至ってていねいに座蒲団をすすめると、女は、その上へ坐っても、いっこう頭巾を取ろうとしないし、お角も一向、それを気にしていないのがおかしいほどです。

それからお角が、お茶をすすめたり、羊羹をすすめたりしていると、

「おかみさん」

「はい」

「わたしは、もうすっかり癒りましたから、どうぞ、わたしの頼みを聞いて下さい」

「ですけれども」

「いいえ、かまいませんから」

お高祖頭巾の女は、何かを頼みに来たのです。けれども、頼むというよりは圧迫するような態度で、それをお角ほどの女が、あしらい兼ねているあんばいがいよいよ変です。

「ですけれども、お嬢様……」

と、お角がようやく立て直して、

「そう申してはなんですけれども、わたしは、あなたが、もうあの方にお目にかからないのがおためになると存じます」

「それはどうしてですか」

「あなたは、御存じになっておりますか知ら」

「何を」

「あの方の本当のお名前を」

「エエ、あれは机竜之助と申します、吉田竜太郎というのは仮りの名前です」