Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme
彼自身においては、自分が生きるように生きているのみで、未だ曾て企んで人を陥れようとしたことがない。わが生きる前途にふさがるものは容赦なく、これを犠牲にして来たつもりだが、わが存在を衒うために一筋でも、他を犯したことはないつもりである。夜な夜な出でて人を斬ったことですらが、彼は渇して水を求むるのと同じことで、自己の生存上のやむにやまれぬ衝動に動かされたのだという、盲目的の信念に生きているのであった。国と国が争う時には、幾万の人の命が犠牲になるではないか……自然が威力を逞うした時、おびただしい人畜を殺すこともあるではないか。誰が国と自然との罪を責める?
悪いことをしていない、という盲目的信念は、今までこの男をして、世の罪ある者の方へ、罪ある者の方へと縁を結ばしめて来た。愛すべきものは罪である。ことに愛すべきは罪を犯して来た女である。今まで彼を愛し、彼に愛せられた女性は皆、この罪ある女ではなかったか。愛でも恋でもない、それは罪と罪とのからみ合う戯れではないか。ただし戯れにしては、その悶えがあまりに重くして深いことの怨みがある。
道はいつしか、老杉の境を出でて樺木科の密林をよぎると、そこから、すすき尾花の大見晴らしの頭が現われます。