Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme

Aozora Bunko

がんりきは、いよいよ樽を虐待してみたが、それでも踏みこわすほどのことはなく、やがて、おとなしくなって、わざとらしく猫撫で声、

「神尾の殿様、憎いのはこいつばかりじゃございません」

「まだ憎み足りないか」

「憎み足りない段ではござりませぬ、ほんに骨身を食いさいてやりたいというのは、蒲焼の鰻ではございませんが、年をとるほど油の乗る奴があるんでございます、見るたんびに油が乗って、舌たるいといったら堪ったものじゃありません、あれをむざむざ食う奴も食う奴、食われる奴も食われる奴、全く骨身を食いさいてやりたいほど、憎らしいもんです」

「がんりき」

「はい」

「その酒をここへブチまけてしまえ」

神尾主膳はなんとなく焦れ出してきたように見える。

「それは勿体ないことでございます」

「いいからブチまけてしまえ」

「勿体ないことでございますな、おいやならば私が頂戴致しましょう、お下りでありましょうとも、お余りでありましょうとも、うまい物には眼のないこのがんりき、まして手入らずの生一本ときては……」

二十六

ほどなく大中寺の門前までやって来た時分に、がんりきの百蔵は、急に主膳にお暇乞いをして、明日にも改めてお伺い致しますと言って別れてしまいました。