Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme

Aozora Bunko

このお長屋にひとりで留守をしているのは、以前、甲府までも主人のおともをして行ったことのある近習役の阿部一学であります。ほかの家来は、それ以来、ちりぢりになって、多くは別に主取りをしているのに、一学だけは、決着のお沙汰のあるまでこの屋敷に踏みとどまって、留守居を兼ねて、夜な夜な内職をしているところへ、今いう通り、外からわが名を呼ぶものがありました。

ここで、一学の内職というのは、世の常の浪人のする唐傘張りや、竹刀けずりとはちがって、オランダの辞書と、イギリスの辞書とをてらしあわせて、しきりに筆写を試みているので、この内職には相当の学力と労力とを要するが、うつし終ればその報酬は、他の内職よりはずっと割がいいのみならず、一冊うつせば自分もまた一冊だけの学力がつく。一学が、あえて仕官をあせらずに、こうして落着いているのは、この内職という強みがあればこそで、この内職に堪えられる学力は、旧主の駒井能登守から恵まれたもの多きにおることを知ればこそ、少なくとも自分だけは、最後までこの屋敷の運命を見届けようとの覚悟も起るわけです。

一学は外から呼ばれた声に大きな驚異を持ちながら、筆を、うつしかけたイギリス語の雁皮の帳面の間へはさんで、あわただしく立って窓の障子を押開き、