Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme

Aozora Bunko

最初には、上へあがることをさえ憚った女が、今はかえって名残りを惜しんで、立たせともなき風情であります。

「ああ、そうでした、わたくしはいつぞやお約束の餞別を、あなたに差上げるつもりで持って参りました」

と言って、女は立って扉を押し、

「駕籠屋さん、あの刀をちょっとここへ貸して下さいな」

やや離れた行衣場に、同じく焚火にあたり、無駄話をしていた二人の駕籠屋を呼びます。

三

女は駕籠屋から刀箱を受取って、それを改めて竜之助の前に置いて、

「あなた、この刀には、なかなか因縁があるのでございます」

「何という人の作か、それを聞いておきましたか」

といって竜之助は、箱の紐に手をかけてほどきはじめました。

「ええ、銘がございますそうです」

「在銘ものか。そうしてその銘は?」

箱の中から萌黄の絹の袋入りの一刀を取り出して、手さぐりで、その紐を払うと、女は燭台をズッと近くへ寄せて、

「どうか、よくごらんなすって下さいまし、こういうものばかりは見る人が見なければ……」

「その見る人が、この通りめくらだ」

袋の中から白鞘物を取り出しますと、女は、

「それでも、心得のあるお方がお持ちになればちがいます」