Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme
あの琵琶の音も、たしかに魂魄の致すところに相違ない、こちらに不意の騒動が起ったため、よくその根原を見届けなかったのが残念じゃ」
兵馬は、それを聞いてしまってから、この座を立って寝に行くかと思うとそうではなく、まもなく番屋の門を出でた兵馬は、身には饅頭笠と赤合羽で、片手には「六所明神社務所」の提灯を持ち、片手には夜番の者が持つような六尺棒をついて、刀脇差は合羽の下に隠し、木馬から御宮、本社を一廻りして、一の鳥居から甲州街道の本通りへ出で、両岸に賑わしい府中の宿の真中を悠々と通りましたが、誰も怪しむ者がありません。
兵馬が誰にも怪しまれなかったのは、左巴の紋のついた六所明神の提灯のおかげです。
笠と合羽を用意して出たのは、空模様をもしやと気遣ったのみでなく、それが身を隠すに都合がよかったからで、ことに長い刀は見えないようにと苦心して、悠々と府中の宿を西へ一通り歩み抜けて裏へ出ました。
裏へ出るとまもなく、問題の分倍河原です。河原一面に離々とした草叢。月のあるべき空が曇っていて、地上はボーッとして水蒸気が立てこめているから、さながら朧夜の中を歩んで行く気持です。