Japanische Klassiker mit Furigana
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おおさかをあるく
大阪を歩く
直木 三十五
Lesen Sie 大阪を歩く (おおさかをあるく) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.964 Zeichen · 65 Bildschirme
そして、今と同じように、苦い顔をしている(親爺の面というものは、大体、苦くって、いつでも、最近と同じ齢をしている。しばしば父の若い時の顔を想像するが、これ位困難なことは無い)。
私が、東京へ来い、と、云っても母親だけを寄越して、何うしても動かない。あんな、蚤の家のような所でも、住み慣れるといいのかもしれない(尤も、私の生れた、も一つの小さい家は、谷町六丁目交叉点の、電車線路になってしまっている。これは、大層悲しい事実だ)。
然し、もっとよく考えると、父は、家よりも、大阪がすきなのらしい。「東京はあかん」と、東京へくると、私の家の前へ出て、五分程立ってみて「あかん」と、云って帰ってしまう。何故、あかん、のか、父の観察と、私の哲学とは少し距離がありすぎるし、父の耳が遠いから、聞いた事はない。
私は、その父の伜であるが五年前までは、未だ、大阪が嫌いであった。大阪も、父もあかんと思うていた。二十年前、私が、文学へ志を立てた時、大阪も、父も、私に賛成してくれなかったからである。
尋常小学校は、桃園を、高等小学校は、育英第一を(この三年時分から、先生に反抗するのを憶えた)、中学は、市岡を(ここで、物理の大砲という綽名の先生が、私を社会主義者だと云った。