Japanische Klassiker mit Furigana
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おおさかまんげきょう
大阪万華鏡
吉行 エイスケ
Lesen Sie 大阪万華鏡 (おおさかまんげきょう) von 吉行 エイスケ (よしゆきえいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.240 Zeichen · 15 Bildschirme
1
北浜の父の事務所から、私は突然N署に拘引された。
私がN署の刑事部屋に這入ると、そこには頭髪を切った無表情な少女のかたわらに、悄然と老衰した彼女の父が坐っていた。その周囲を刑事たちが取まいて、中年過ぎた警部によって私たちは取調べられた。
戯れ絵のように、儀礼的な刑事部屋で、あぐらをかいた白毛のまじった老警部が私に言った。
「――チタ子の父から、君を誘拐罪として告訴状を提出しているのだが、君とチタ子とはどんな関係なんだ。」
私はその訊問に対して率直に答えた。
「――チタ子とは数日前、私が夙川の舞踊場の踊りの帰路を立寄ったR酒場で会ったのです。彼女は自分の勤めている官省のN課長とやってきました。洋モスの着物に、紅帯を締めて、さげ髪に紅色のリボンを結んでいるのを見て、最初は一日恋愛の女学生かと思ったのです。チタ子は同伴のN課長が酒場に註文した甘美な混合酒を飲みながら、彼女は課長に、ヤルー衣裳店に註文した衣裳代を支払ってくれるように懇願しました。するとしばらくN課長は、ご自慢だとみえる黒髭をひねっていましたが、漸く幾枚かの紙幣を男法界が女に烙印でも捺すように与えて、チタ子をある処へ誘ったようでしたが、彼女は商人的な寝床が気に入らないらしく、これを拒絶すると、翌日の夜を仮約束していました。