Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐじんのどく
大雷雨夜の殺人 他8編
小酒井 不木
Lesen Sie 大雷雨夜の殺人 他8編 (ぐじんのどく) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.456 Zeichen · 55 Bildschirme
飲みましたかとお訊ねにならなかったことなのです。ところが、保一くんはあの朝、健吉くんの出たあとへ忍んできて、令嬢から十時ごろに飲むべき薬が届いていると聞き、もしや兄がその中へ薬を混ぜはしなかったかと疑って、その薬を母親に飲ませなかったのです。で、その薬はそのまま保存され、片田博士に分析してもらったところ〇・二グラムの亜砒酸、すなわち致死量の二倍の毒が存在しているとわかりました」
これを聞くなり、山本医師は喉の奥から一種の唸り声を発した。
「だって、だって」
と、山本医師は叫んだ。
「未亡人は亜砒酸中毒で死んだではありませんか」
「いかにも、あなたの死亡診断書には亜砒酸中毒が死因であると書かれてありました。ところが片田博士が死体を解剖なさった結果、亜砒酸の痕跡をも発見し得なかったので、博士は死因に疑いを抱いて、血液検査の結果マラリアの存在を発見し、四回もはげしい発作を起こしたため五回めに心臓が衰弱していたということがわかったのです。ですから、健吉くんも保一くんも、その他何人も未亡人の死とは関係ありません」
この時、山本医師は急に目を白黒させて、机の上にふらふらと俯きに上体を投げかけた。