Japanische Klassiker mit Furigana
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てんしゅものがたり
天守物語
泉 鏡花
Lesen Sie 天守物語 (てんしゅものがたり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.593 Zeichen · 42 Bildschirme
私は目が見えなくなりました。姫君。
夫人 (忍び泣きに泣く)貴方、私も目が見えなくなりました。
図書 ええ。
夫人 侍女たち、侍女たち。――せめては燈を――
――皆、盲目になりました。誰も目が見えませんのでございます。――(口々に一同はっと泣く声、壁の彼方に聞ゆ。)
夫人 (獅子頭とともにハタと崩折る)獅子が両眼を傷つけられました。この精霊で活きましたものは、一人も見えなくなりました。図書様、……どこに。
図書 姫君、どこに。
さぐり寄りつつ、やがて手を触れ、はっと泣き、相抱く。
夫人 何と申そうようもない。貴方お覚悟をなさいまし。今持たせてやった首も、天守を出れば消えましょう。討手は直ぐに引返して参ります。私一人は、雲に乗ります、風に飛びます、虹の橋も渡ります。図書様には出来ません。ああ口惜い。あれら討手のものの目に、蓑笠着ても天人の二人揃った姿を見せて、日の出、月の出、夕日影にも、おがませようと思ったのに、私の方が盲目になっては、ただお生命さえ助けられない。堪忍して下さいまし。
図書 くやみません! 姫君、あなたのお手に掛けて下さい。
夫人 ええ、人手には掛けますまい。