Japanische Klassiker mit Furigana
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てんしゅものがたり
天守物語
泉 鏡花
Lesen Sie 天守物語 (てんしゅものがたり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.593 Zeichen · 42 Bildschirme
そのかわり私も生きてはおりません、お天守の塵、煤ともなれ、落葉になって朽ちましょう。
図書 やあ、何のために貴女が、美しい姫の、この世にながらえておわすを土産に、冥土へ行くのでございます。
夫人 いいえ、私も本望でございます、貴方のお手にかかるのが。
図書 真実のお声か、姫君。
夫人 ええ何の。――そうおっしゃる、お顔が見たい、ただ一目。……千歳百歳にただ一度、たった一度の恋だのに。
図書 ああ、私も、もう一目、あの、気高い、美しいお顔が見たい。(相縋る。)
夫人 前世も後世も要らないが、せめてこうして居とうござんす。
図書 や、天守下で叫んでいる。
夫人 (屹となる)口惜しい、もう、せめて一時隙があれば、夜叉ヶ池のお雪様、遠い猪苗代の妹分に、手伝を頼もうものを。
図書 覚悟をしました。姫君、私を。……
夫人 私は貴方に未練がある。いいえ、助けたい未練がある。
図書 猶予をすると討手の奴、人間なかまに屠られます、貴女が手に掛けて下さらずば、自分、我が手で。――(一刀を取直す。)
夫人 切腹はいけません。ああ、是非もない。それでは私が御介錯、舌を噛切ってあげましょう。それと一所に、胆のたばねを――この私の胸を一思いに。