Japanische Klassiker mit Furigana
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てんぐいわのさつじんま
天狗岩の殺人魔
山本 周五郎
Lesen Sie 天狗岩の殺人魔 (てんぐいわのさつじんま) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.872 Zeichen · 18 Bildschirme
「宜し宜し、もう決して云わん」
「では失礼します。――祐ちゃん失敬」
「うう」
祐吉は不愛想に呻いただけだった。
京太郎が立去ると、――平野氏は自分の椅子へ戻って葉巻に火を点けながら、
「祐吉、おまえもっと確りせんと駄目だぞ、そんなにのらくらしていると儂が死んでも遺産を分けてやらんから」
「遺産なんか貰わなくても僕ァ、伯父さんの生きている方が宜いですよ。――なんだ十万や二十万の金なんぞ」
「直ぐそれだ!」
平野氏は忿然と立って、
「貴様は直ぐ金なんぞと云うが、金が無くて人間なにが出来る。京太郎を見ろ、貴様より三ツ年上だけなのに、火山岩を金に変えるという驚くべき発明をやってのけたじゃアないか、国家的にも大功績と云うべきだぞ」
「へえ――まだ万有還金などという事が流行っているんですかね、僕ァまた伯父さんから資金を引出す口実だと思った」
「そう云う奴だ。何かと云うと直ぐ探偵みたいな事を云う」
「あッ、その探偵で思出した」
祐吉はぐいと身を乗出して、
「殺人鬼権六が潜入したとなると、こいつは二三日うちに何か事件が持上りますぜ、殊にもう宮橋氏へは脅迫状をやったと云うんですから、伯父さん処なんぞも危いですよ」