Japanische Klassiker mit Furigana
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あまくさしろうのようじゅつ
天草四郎の妖術
国枝 史郎
Lesen Sie 天草四郎の妖術 (あまくさしろうのようじゅつ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.401 Zeichen · 17 Bildschirme
ヒューと笛のような鶴の声。塒を求める群鴉の啼音が、水田や木蔭や夕栄の空から物寂く聞えて来て人恋しい時刻となりました。
尚老人は歩いて行く。で四郎も走って行く。こうして半刻も経った頃には夕陽が消え月が出て四辺は蒼白くなりました。
その時初めて老人は立止まったのでございます。
其処は山の裾野でしたが、枯草の上へ胡座を掻き満月を背に負った老人の姿は妖怪のようでございます。
「おい小僧、此処へ坐われ」
近寄る四郎の姿を見ると斯う老人は云いました。
「貴様の名は何んと云う?」
「増田四郎と申します」
痴ながらも姓名だけは四郎も知って居りましたので、老人の側へ坐わり乍ら斯う無邪気に云ったものです。
三
「何んの為に此処まで来たな?」
四郎は黙って笑っています。
「もっと芸当を見たいからか?」
「はい」と四郎は頷きました。
「よしよし夫れでは見せてやろう。いや可愛い美少年じゃ。お前のような美童の前では俺の芸当も逸むというものじゃ」
老人はこんな事を云い乍ら少し居住居を正しましたが、光清らかの月に向かってホーッと長い息を吐きました。と其呼吸は薄紫の一条の橋となりまして月へ懸ったではありませんか。