Japanische Klassiker mit Furigana
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てんいむほう
天衣無縫
織田 作之助
Lesen Sie 天衣無縫 (てんいむほう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.975 Zeichen · 25 Bildschirme
ところが、あとでわかったことだが、ほんとうは矢張りその日の用意にと親御さんから貰っていたのだ。それをあの人は昼間会社で同僚に無心されて、断り切れず貸してやったのだった。それであといくらも残らなかったがたぶん足りるだろうとのんきなことを考えながら、私をかき船に誘ったということだった。しかし、いくらのんきとはいえ、さすがに心配で、足りるだろうか、足りなければどうしようかなど考えながら食べていると、まるで味などわからなかったと言う。なるほどそう言えば、私が話しかけてもとんちんかんな受け答えばかししていたのは、いつものこととはいいながら、ひとつにはやはりそのせいもあったのかも知れない。それにしても、そんな心配をするくらいなら、また、もしかすると私にも恥をかかすようなことになるとわかっているのだから、同僚に無心された時、いっそきっぱりと断ったらよかりそうなものだ、また、そうするのが当然なのだ、と、それをきいた時私は思ったが、それがあの人には出来ないのだ。気性として出来ないのだ。しかもそれは、なにも今日明日に始まったことではなく、じつはあの人のお饒舌のお友達に言わせると、京都の高等学校にいた頃からのわるい癖なのだそうだ。