Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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「ダブックウ」ひょうりゅうき

「太平洋漏水孔」漂流記

小栗 虫太郎

Lesen Sie 「太平洋漏水孔」漂流記 (「ダブックウ」ひょうりゅうき) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.264 Zeichen · 37 Bildschirme

Aozora Bunko

「うん、だけどね。ジャッキーちゃんはとっても威張るんだもの。あたいを、いつも慾ばりの悪殿様にして、ジャッキーちゃんの海賊が退治にくるんだもの。だけど、あたいのお国の日本なら虐められないだろうね」

こんな、頑是ない子が郷愁をおぼえる哀れさ。それは、やはりキューネも同じことである。オジチャンも、どれほどドイツへ帰りたいか知れないよと、口には云わないがいきなりハチロウを抱きしめ頬ずりをしながら滂沱と涙をながした。

「ゆこう坊や。坊やのお国の日本へゆこうよ」

そうして二人は、安住の地へと漂泊をはじめたのであったが……それには、まず行きようもないと云う秘境が必要だ。ところが、独領ニューギニアの最北端に、“Nord-Malekula”という、荒れさびた岬がある。そこには、岩礁乱立で近附く舟もなく、陸からの道には“Niningo”の大湿地があり、じつに山中に棲む矮小黒人種さえ行ったことがないと云う。かれは、まず皇后オウガスタ川を遡っていった。

両側は、いわゆる多雨の森、パプアの大湿林。まい日七、八回の驟雨があり、ごうごうと雷が鳴る。その雨に、たちまちジャングルが濁海と化し――独木舟が、大羊歯のなかを進んでゆくようになる。