Japanische Klassiker mit Furigana
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ぶにんりしょうき
夫人利生記
泉 鏡花
Lesen Sie 夫人利生記 (ぶにんりしょうき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.693 Zeichen · 26 Bildschirme
」と、確と祖母に向って、道具屋が言ってくれた。が、しかし、その時のは綺麗な姉さんでも小母さんでもない。不精髯の胡麻塩の親仁であった。と、ばけものは、人の慾に憑いて邪心を追って来たので、優い婦は幻影ばかり。道具屋は、稚いのを憐れがって、嘘で庇ってくれたのであろうも知れない。――思出すたびに空恐ろしい気がいつもする。
――おなじ思が胸を打った。同時であった、――人気勢がした。――
御廟子の裏へ通う板廊下の正面の、簾すかしの観音びらきの扉が半ば開きつつ薄明い。……それを斜にさし覗いた、半身の気高い婦人がある。白衣に緋を重ねた姿だと思えば、通夜の籠堂に居合せた女性であろう。小紋の小袖に丸帯と思えば、寺には、よき人の嫁ぐならいがある。――あとで思うとそれも朧である。あの、幻の道具屋の、綺麗な婦のようでもあったし、裲襠姿振袖の額の押絵の一体のようにも思う。……
瞬間には、ただ見られたと思う心を、棒にして、前後も左右も顧みず、衝々と出、その裳に両手をついて跪いた。
「小児は影法師も授りません。……ただあやかりとう存じます。――写真は……拝借出来るのでございましょうか。