Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かのうせいのぶんがく

夫婦善哉

織田 作之助

Lesen Sie 夫婦善哉 (かのうせいのぶんがく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.834 Zeichen · 94 Bildschirme

Aozora Bunko

勧善懲悪

一

ざまあ見ろ。

可哀相に到頭落ちぶれてしまったね。報いが来たんだよ。良い気味だ。

この寒空に縮の単衣をそれも念入りに二枚も着込んで、……二円貸してくれ。見れば、お前じゃないか。……声まで顫えて、なるほど一枚ではさぞ寒かろうと、おれも月並みに同情したが、しかし、同じ顫えるなら、単衣の二枚重ねなどという余り聴いたことのないおかしげな真似は、よしたらどうだ。……それに、二円貸せとは、あれは一体なんだ? 同じことなら、二千円貸せ……と、大きく出るんだね。だいいち、その方がお前らしいよ。

もともとヤマコで売っていたお前の、そんな惨めな姿を見ては、いかな此のおれだって、涙のひとつも……いや、出なんだ。出るもんか。……随分落ちぶれたもんですね、川那子さん、ざまあ見ろ。ああ、良い気味だ……と、嗤ってやった。驚きもしなんだ。なに、驚くもんか。判っていたんだ。こう成るとは、ちゃんと見通していたのだ。

良いか。言ってやるぞ。……お前から手を引いた時、おれは既にお前の「今日ある」を予想していたのだ。だからこそ、手を引いた。お前の方では、おれを追い出してやったと、思っているらしいが、違う。