Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
かのうせいのぶんがく
夫婦善哉
織田 作之助
Lesen Sie 夫婦善哉 (かのうせいのぶんがく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.834 Zeichen · 94 Bildschirme
名前はおかねだが、彼女はおから以外の食物を買うて帰ったためしがないというくらい、貧乏していた。界隈の娘に安い月謝で三味線を教えてくらしていたがきこえて来るのは、年中、「高い山から谷底見れば」ばかり、つまりは、弟子が永続きしないのだった。それというのも、新しい弟子が来ると、誰彼の見境いもなしに灸をすえてやろうと、執拗く持ちかけるからで、病気ならともかく、若い娘の身で、むやみに灸の跡をつけられてはたまったものではないと、たいていの娘は「高い山から」をすまさぬうちに、逃げてしまうのだった。おかね婆さんは昔灸婆をしていたこともあり、弟子を掴まえてそんな風に執拗く灸をすすめるのも、月謝のほかに十銭、二十銭余分の金を灸代として取りたい胸算用だから……と、専らの評判をいつか丹造もきき知っていたのである。
その日、路地へ帰ると、丹造は早速おかね婆さんを掴まえて、
「――実はおまはんを見込んで、頼みがある」
金儲けだときかされると、途端におかね婆さんは歯ぐきを出して、にこにこし、つまりは何の造作もなく説き伏せられてしまった。
だが、さて、どんな風に実行に移したものかという段になると、丹造にはからきし智慧もなく、あくまで相棒が要った。