Japanische Klassiker mit Furigana
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かのうせいのぶんがく
夫婦善哉
織田 作之助
Lesen Sie 夫婦善哉 (かのうせいのぶんがく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.834 Zeichen · 94 Bildschirme
の七字を躍らすなど、われながらあやしい装立ちだった。が、それで気がさすどころか、存外糞度胸ができてしまって、まるで村芝居にでも出るようなはしゃぎ方だった。
お前もおれも何思ったか無精髭を剃り、いつもより短く綺麗に散髪していた。お前の顔も散髪すると存外見られると思ったのは、実にこの時だ。
おれは変にうれしくなってしまい、「日本一の霊灸! 人ダスケ! どんな病気もなおして見せる。▽▽旅館へ来タレ」とチラシの字にも力がこもった。チラシが出来上がると、お前はそれを持ってまわり、村のあちこちに貼りつけた。そして散髪屋、雑貨屋、銭湯、居酒屋など人の集まるところの家族には、あらかじめ無料ですえてやり、仁の集まるのを待ち構えた。
もし、はやらなければ、宿賃の払いも心細い……と、口には出さなかったが、ぎろりとした眼を見張ってから一刻、ひょいと会場の窓から村道の方を覗くと、三々伍々ぞろぞろ歩いて来る連中の姿が眼にはいり、あ、宣伝が利いたらしいとむしろ狼狽した。
「――婆さん頼んだぜ」
と、すぐさまおれは「受付」の机のうしろに坐り、そして、来た順に並ばせていちいち住所、氏名、年齢、病名をきいて帖面へ控えた。