Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かのうせいのぶんがく

夫婦善哉

織田 作之助

Lesen Sie 夫婦善哉 (かのうせいのぶんがく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.834 Zeichen · 94 Bildschirme

Aozora Bunko

「――どうです? 古座谷さん、この繁昌りようは、実際わしの思いつきには……」

さすがに驚きはしたが、しかし、何といっても、繁昌った原因は、おれの宣伝のやり方が堂に入っていたからだ。

いかにおれが宣伝の才にめぐまれていたかは、いずれ後ほど詳しく述べる故、ここでは簡単に止めて置くが、たとえば湯崎へ来た最初の日集まった患者のなかで口の軽そうな、話好きそうな婆さんを見ると、

「――この灸は天下一の名灸ではあるが、真実効をあらわそうと思えば、たった一つ守って貰わねばならぬことがある。いや、いや、こういったからって、何もむつかしいことじゃない。灸をすえて三十分後にすぐ温泉に浸り、そして十三時間湯殿から一歩も出ず、灸の穴へひっきりなしに湯気をあてて置けば良いのだ。これをむつかしい言葉で言うと温泉灸療法という……。いや、言葉はどうでもよい。わかったね。十三時間温泉にいるんですよ」

温灸という言葉ならあるが、温泉灸療法とは変な言葉だと、われながら噴きだしたくなるのをこらえこらえ、おごそかに言い渡したものだ。

病人というものはいったいに正直なものだが、おまけに年寄りで、広告にひきつけられて灸をしに来るというからには、まかりまちがっても、おれの言葉をあやしむことはあるまい。