Japanische Klassiker mit Furigana
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かのうせいのぶんがく
夫婦善哉
織田 作之助
Lesen Sie 夫婦善哉 (かのうせいのぶんがく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.834 Zeichen · 94 Bildschirme
知っての通り、まずおれはお手のものの活版で、二色刷りの凝ったチラシをつくってやった。次に包装だ。箱など当時としては随分思いきったハイカラな意匠で体裁だけでいえば、どこの薬にもひけをとらぬ斬新なものだった。なお、大阪市内だけだが、新聞に三行広告も出してやった。
無論、全部おれが身銭を切ってしてやったことで、なるほどあとでの返しはそれ相当に受け取りはしたが、当時はなにもそれを当てにしていたわけではない。簡単にいえば親切ずく、――あとで儲けを山分けなどというけちな根性からではさらになかった。
何ごとも算盤ずくめのお前には、そんなおれの親切が腑に落ちかねて、済みません、済みません、一生恩に着ますなんて、泪をこぼさんばかりにしながらも、内心は、こいつどこまで親切な奴だろうと、いくらか呆れていたろう。いや、それに違いあるまい。全くの話、おれ自身にしても、なぜそんなに親切にしてやったのか、はっきりとは判らなかったくらいだ。
朝鮮の花街に残して来たというお千鶴のことをきけば、どうにも不憫で、ここでお前に一儲けさせてやれば、お前もお千鶴を迎えに行くだろう――という気持は無論あった。