Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かのうせいのぶんがく

夫婦善哉

織田 作之助

Lesen Sie 夫婦善哉 (かのうせいのぶんがく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.834 Zeichen · 94 Bildschirme

Aozora Bunko

よしんば、あったにしたところで、人の命というものは、明日をも知れぬもの、どうにでも弁解はつく、そう執拗に追究するほどのことはなかろう。

しかし、とにかくこの広告は随分嫌われものだ。それだけにまた、宣伝という点では、これだけ効果的なものは、今もってちょっとほかに見当らないくらいだった。売れた。情けないほど売れたよ。

当時、まだそんな言葉は出来ていなかったと思うが、いわゆる知識階級――薬の効目などというものには全く懐疑的で、また、全快写真の八百長さ加減ぐらいは百も承知している筈の連中にしても、たとえば、

「――実は、少々胸がわるいんだが、まだ川那子メジシンの厄介になるほどは、わるくないから安心だ」

ぐらいのことは言い、いよいよとなれば、飲む覚悟も気休めにしていたほどであったから、一般大衆の川那子肺病薬に対する盲信と来たら、全くジフイレスのサルバルサンに於けるようなものだった――と、言って過言ではあるまい。病人にはっきり肺病だと知らせるのを怖れて、ひそかにレッテルをとって、川那子薬をのませたという話もあった。

もって、その人気がわかる。みな、この広告のおかげ、つまりはおれの発案のおかげだったではないか。