Japanische Klassiker mit Furigana
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かのうせいのぶんがく
夫婦善哉
織田 作之助
Lesen Sie 夫婦善哉 (かのうせいのぶんがく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.834 Zeichen · 94 Bildschirme
おれはおれのしたいことだけを、して来たのだ。これ以上、何のすることがあろうか。それに、もはやそんな風になったお前にいつまでも関り合っていては、ろくなことはない。おれはお前に金を掴まして置いて、さっさと逃げようと考えた。落語に出て来る狸みたいに……。その機会はやがて来た。
――さすがのジャーナリズムもその非を悟ったか、川那子メジシンの誇大広告の掲載を拒絶するに至った……。
お前はすぐ紋附袴で新聞社へかけつけ、
「――広告部長を呼べ!」
そして広告部長が出て来ると、
「――おれの広告のどこがわるい? お前なぞおれの一言で直ぐ馘首になるんだぞ。おれはお前の新聞に年に八万円払ってるんだ。社長を呼べ! 社長にここへ出ろと言え」
社長は面会を拒絶した。お前はすごすご帰って、おれに相談した。おれは渋い顔で、
「――じゃ、早速その新聞を攻撃する文章を、広告にしてのせて貰うんだね」
れいの「川那子丹造の真相をあばく」が出たのは、それから間もなくだ。その時のお前の狼狽て方については、もう言った。
おれはその醜態にふきだし、そして、お前と絶縁した。お前はおれを失うのを悲しんでか、それとも、ほかの理由でか、声をあげて泣きながら、おれにくれるべき約束の慰労金を三分の一に値切った。