Japanische Klassiker mit Furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.681 Zeichen · 22 Bildschirme
その時、近臣の一人、岡崎十次郎という者が現われました。放縦で、少し虚無的で、そして才気の鋭いこの男は、早くも若殿忠弘の悩みを察して、芳江兄妹の探索に乗り出してくれたのです。
「若殿、――芳江兄弟が見付かりました、深川の叔母お鳥の引越し先を捜し出し、当人に逢って、脅かしと金で引出したのでございますが――」
「どこだ、芳江はどこにいる」
皆まで聴かずに忠弘は乗出します。
「芳江兄弟の隠れ家は突きとめましたが、大変な身分の者でございます。御関係はお家の瑕理ともなりましょう、このままお思い止まり遊ばすよう、私からお願いいたします」
虚無的な岡崎十次郎がこんな事をいうのですから、それは余っ程変った素性でなければなりません。
「構わぬ、申せ――断って申せ」
高力忠弘はもう前後の考えもありませんでした。
「いたし方御座いません、申上げますが――芳江とその兄宗次郎は、非人頭、車善七の配下に御座ります」
「えっ」
忠弘が驚いたのも無理はありません。その当時の暴戻な制度や社会通念のために、人別を抜かれて非人の配下になったものが、世間からどんな屈辱的な待遇を受けていたか、恐らく今の人の想像も及ばないところでしょう。