Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.545 Zeichen · 23 Bildschirme
だったのです。
お綾の皮膚の色は、羽二重に紅珊瑚を包んだようで、生々した血色と、真珠色の光沢の上に、銀色の白粉を叩いたかと思われました。そして、大きい眼、可愛らしい唇――いやいや、そんな目鼻立ちなどを、月並に褒め称えるような顔ではなく、見る者に眼も鼻も唇も意識させない、パッと咲いたような美しさであったと言った方が適切でしょう。
お綾が動けば、四方は馥郁として匂いました。お綾が笑えば、彼女を包む空気は、桃色に輝きました。――少くとも若い男達の眼には、お綾の美しさは、斯んな具合に映ったのです。
この美しい娘お綾を続って、幾多の渇仰者讃美者が渦を巻いたことは想像に難くありませんが、その中でも、父親伊奈長次郎組下の若い男で、まだ独り者の秋月九十郎と妻木右太之進が、互に鎬を削ったのも止むを得ないことでした。
二人は日文を書き、人橋を架け、組頭の家の前まで、百夜も通って、無言のセレナーデを献じました。それを掻き立てるように、時々のお綾の美しい顔が、何気なく窓を開いて、うっとり夕空を眺めたりするのです。
或時はお綾は、秋月九十郎の、逞しくて智的な男振りに関心を持つように見え、或時はまた妻木右太之進の優にやさしき殿御振りに心索かるると見えました。