Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.033 Zeichen · 22 Bildschirme
仙太郎の声を聴いて、美奈子はハッと眼を開きましたが、再び消えも入りたい様子で眼を閉じました。瞼をあふれて頬に流れるのは、取返しのつかない悔恨の涙です。
「お前が持って行ったカフスボタンはどうした」
「――――」
仙太郎の問に、美奈子は悲しく頭を振りました。
「君は偶然を支配するといった――俺は努力を蓄積するといった、そして美奈子さんは、あの美と富とを持っていた。それが皆んななんの役にも立たなかったのはどうしたわけだ」
丹波丹六は横から口をはさみました。
「俺にはわからない、何んにもわからない」
笠森仙太郎は悲しく頭を振ります。
「いや、わかっているはずだ、俺達に不足していたものは智恵でも、努力でも、富でも、美しさでも無かった」
「そうだ、誠意が足りなかったのだ」
笠森仙太郎はかつ然としました。
「誠意?」
「それから愛だ、俺達には本当の愛が無かった」
「愛?」
「そしてお互いに許し合って、もう一度スタートを踏み直すことだ、俺も、君も、まだ年取ったわけではない」
「私も――旦那様」
美奈子は重傷も忘れてベッドの上に起直っていたのです。外はすっかり暗くなって、地下室の電灯は、ほの暗くこの三人の顔を照らしております。