Japanische Klassiker mit Furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.033 Zeichen · 22 Bildschirme
丹波丹六はA教授に対して、厳重に答案の再審査を求めましたが、もとよりそんな申出は容れられる筈もなく、野球の審判と同様で、教授の採点は神聖冒すべからざるものになっているのでした。
それからの笠森仙太郎は、不思議に幸運に恵まれました。学校を丹波丹六より一年先に卒業して、B興業株式会社に入ると、擢んでられて直ちに社長秘書になり、二三年経つうちにはもう、社内で飛ぶ鳥を落す勢いになっていたのです。
ところで、一年後に大学を出た丹波丹六は、これも偶然にB興業株式会社に入って来ました。仕事は受付、笠森仙太郎に比べて、まことに気の毒な地位でしたが、努力家の丹波丹六は、それを大した不足とも思わぬ様子で、実に他所目にも痛々しいほどよく働き続けたのです。
一番早く出勤して、一番最後に引揚げるといった、初歩の勉強振りはいうまでもなく、自分の仕事振りを見せるためには、想像し得る限りの、あらゆる機会を利用して、その努力の蓄積を実行していったのです。
笠森仙太郎は幸運を掴むためには、他人の迷惑などは物の数とも思わなかったのですが、丹波丹六は一歩進んで、自分の地位を築き上げるためには他人を陥入れる位のことは、まことに――尾籠な譬で恐縮ですが、――屁とも思わないといった、冷酷無残な性格の持主でした。