Japanische Klassiker mit Furigana
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きぞくひがん
奇賊悲願
海野 十三
Lesen Sie 奇賊悲願 (きぞくひがん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.375 Zeichen · 19 Bildschirme
お志万が橋渡しをして、貫一へ渡してやった。
「ほほう。第一は目黒の応法寺。酒買い観世音菩薩木像一体。第二は品川の琥珀寺。これは吉祥天女像、第三は葛飾の輪廻寺の――」
「まあ、後でゆっくり読んで、案を練るがいい。それについてもう一ついって置くが、そのピストルはこっちへ預けて行け」
烏啼は、貫一のピストルを鷲づかみにして、さっさと懐中へ収いこんだ。貫一はあわてた。
「じょ、冗談を。それを召上げられては、こちとらは――」
「貫一。こんどの出獄を機会に、ピストルの使用を禁ずる。それがお前の身のためだ。しかといいつけたぞ」
「そんな無茶な……あっ、兄貴」
烏啼は、つと立って奥へ入った、大狼狽の貫一と艶麗なるお志万をうしろに残して……
たしかな腕前
黒い森の上には戸鎌のような月が懸っていた。春はどこかへ行っちまって、いやに冷え込む今宵だった。森をめがけて、すたすた近づいて来る一つの人影。
それがいきなり跼んだかと思うと、かちッとライターの火が光った。やがて暗闇に、煙草の赤い一つ目が現われる。
「さて、仕事前の一服と……。寺はあれだな」
と、ひとりごとをいうこの怪漢こそ、烏啼の館から抜けて来た的矢貫一に違いなかった。