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Japanische Klassiker mit Furigana

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きぞくひがん

奇賊悲願

海野 十三

Lesen Sie 奇賊悲願 (きぞくひがん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.375 Zeichen · 19 Bildschirme

Aozora Bunko

うまそうに紫煙をすいこんでから、あたりに気を配り、それから手を上衣の内ポケットへ入れたと思うと、すぐ引出した手に、月があたってきらりと光るものが握られていた。

「このピストルの方が、筋はいいんだ。何が幸いになるか分らないもんだ」

ちょっと片手で弄んで、するりと元のポケットへ返した。烏啼のために愛用のピストルを取上げられた貫一は今夜の仕事に、すぐどこかで新しい上等のピストルを手に入れて来たのである。

「すみません、ちょっと火をお貸しなすって」

不意に真暗から声がして、貫一の前に一人の男がのっそりと現われた。若い男だが、毛糸で編んだ派手な太い横縞のセーターに、ズボンはチョコレート色の皮ものらしいのをはき、大きな顔の頭の上に、小さい黄いろい鳥打帽をちょこんと乗せている。

「へえ、すみません。点きました」その男は二三遍頭を下げてから立上った。ズボンの皮が引張られるためか、変な音がした。「旦那、どこへいらっしゃるんで……」

「この先まで帰るんだが、ちょっと腰が痛くなって一休みしているんだ」

と、貫一は出鱈目をいった。

「そうですかい。この辺は物騒ですから、気をおつけなさい」