Japanische Klassiker mit Furigana
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おくじょうねんだけのぜってんにたつき
奥常念岳の絶巓に立つ記
小島 烏水
Lesen Sie 奥常念岳の絶巓に立つ記 (おくじょうねんだけのぜってんにたつき) von 小島 烏水 (こじまうすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.541 Zeichen · 11 Bildschirme
渚を歩いているのかと、惑った、夜の自然は一切を平等にして、山とか海とかに仮現する異性を失わせる。
足の下、一面は雲の波で、月があっても、凸面に氷を張り詰めて、下界を固く封鎖して了った、この下に都府あり、簇々たる人家あり、男女あり、社会あり、好悪あり、号泣放笑ありといっても、これは黎明が来るまでは存在しない世界である、仰げば星は快楽の象表、月は光明の窓、わが小舎にトロトロ燃え残っている焚火のみが、人の手に成った唯一の活動――これも事業なり――を示すのを外にして、天下の人類と、その作れるものは悉く廃滅し了んぬ。
風が寒くて、皮下まで冷たいものを注射されるようだ、そのたびに身の毛が慄つ、再び小舎に戻る。まどろむこと一瞬間、焚火も全く消えた、一個の逞ましい木像と、一個の冷たい大理石像と、小舎の中に横わる、一は依然として動かないのに、一は蠢めいて待つものあり。
待ちに待った朝は来た、朝がいかなる方面から、いかに忍び足に寄って来て、一秒ずつ額を白くしたかは徹夜凝視しても解らない、夜と朝の筋目が判然と目立つほどなら、地球の緯度線が草鞋の爪先に引っかかる