Japanische Klassiker mit Furigana
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おんなはおなじものがたり
女は同じ物語
山本 周五郎
Lesen Sie 女は同じ物語 (おんなはおなじものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.279 Zeichen · 44 Bildschirme
八
――客の来る筈はない。紀伊もちょっと色を変えた。
「その、――」と広一郎は女中に訊いた、「客というのは、どんな人間だ」
「お武家さまでございます」
広一郎は「う」と云った。
八
「お名前をうかがいましたけれど」と女中は続けた、「なんですか怒っていらっしゃるようで、会えばわかる、ぜひとも会わなければならない、と仰しゃるばかりでございます」
「よし、――」と広一郎は云った、「ではすぐにゆくから、ほかの座敷へとおしておいてくれ」女中は承知して去った。
「どなたでしょう」紀伊がおろおろと云った、「わたくしどうしましょう、みつかったのでしょうか」
「とにかく会ってみる」
「わたくし帰りますわ、お会いになっているうちに帰るほうがいいと思いますわ」
「うん、――」と広一郎が云った、「そのほうがいいかもしれない、そうするとしよう」
紀伊は立った。駕籠が待たせてあるから、いそげば祖父の法事にまにあうだろう、と紀伊は云った。では晩に、と広一郎が云った。紀伊はすばやく出ていった。
広一郎は冷えた茶を啜った。紀伊が支度をしてしまうまで、と思って坐っていた。やがて気持もおちついて来、時間もよさそうなので、わざと無腰のままで出ていった。