Japanische Klassiker mit Furigana
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じょせい
女婿
佐々木 邦
Lesen Sie 女婿 (じょせい) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.954 Zeichen · 43 Bildschirme
とあって一向受けつけなかった。
新夫婦は睦じく暮した。清之介君は支配人の鑑識通り忠実な良人だった。妙子さんも、富裕な家庭に育った末娘にあり勝ちの我儘を除いては、申分ない妻女だった。それに何方も珍らしい一方だから、未だ行き違いの起る隙間がない。
「あなた、今日は甘栗を買って、五時半きっかりにお帰り下さいましな」
と命じられゝば、清之介君は雨が降っても銀座へ廻って、電車で人を突き退けても時間の正確を期した。女婿でなくても、少しのろい男ならこれぐらいのことはする。しかし甘栗が四日続いた時妙子さんは、
「私、もう飽きたわ」
と言って顧みなかった。
「私も今日は何うしようかと余っ程考えましたが、また御機嫌が悪いといけないと思って……」
「あら、私、そんなに我儘でしょうか?」
「いゝえ、然ういう次第じゃありませんが、或は待っていらっしゃるかと思いまして……」
と清之介君は聊か藪蛇の形になって、食後早速、
「妙子さん、今晩もヴァイオリンを聴かせて戴けますか?」
と余り感心しない西洋音楽の拝聴で御機嫌を取り結ばなければならなかった。妙子さんはお嬢さま育ちだからナカナカ気むずかしい。