Japanische Klassiker mit Furigana
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おんなきゃく
女客
泉 鏡花
Lesen Sie 女客 (おんなきゃく) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.052 Zeichen · 16 Bildschirme
机の上に差置いて、
「ほんとに御苦労様でした。」
「はいはい、これはまあ、御丁寧な、御挨拶痛み入りますこと。お勝手からこちらまで、随分遠方でござんすからねえ。」
「憚り様ね。」
「ちっとも憚り様なことはありやしません。謹さん、」
「何ね、」
「貴下、その(憚り様ね)を、端書を読む、つなぎに言ってるのね。ほほほほ。」
謹さんも莞爾して、
「お話しなさい。」
「難有う、」
「さあ、こちらへ。」
「はい、誠にどうも難有う存じます、いいえ、どうぞもう、どうぞ、もう。」
「早速だ、おやおや。」
「大分丁寧でございましょう。」
「そんな皮肉を言わないで、坊やは?」
「寝ました。」
「母は?」
「行火で、」と云って、肱を曲げた、雪なす二の腕、担いだように寝て見せる。
「貴女にあまえているんでしょう。どうして、元気な人ですからね、今時行火をしたり、宵の内から転寝をするような人じゃないの。鉄は居ませんか。」
「女中さんは買物に、お汁の実を仕入れるのですって。それから私がお道楽、翌日は田舎料理を達引こうと思って、ついでにその分も。」
「じゃ階下は寂しいや、お話しなさい。」
お民はそのまま、すらりと敷居へ、後手を弱腰に、引っかけの端をぎゅうと撫で、軽く衣紋を合わせながら、後姿の襟清く、振返って入ったあと、欄干の前なる障子を閉めた。