Japanische Klassiker mit Furigana
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おんなきゃく
女客
泉 鏡花
Lesen Sie 女客 (おんなきゃく) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.052 Zeichen · 16 Bildschirme
」
同一年の、あいやけは、姉さんのような頷き方。
「ああ。」
三
「確か六七人もあったでしょう。」
お民は聞いて、火鉢のふちに、算盤を弾くように、指を反らして、
「謹さん、もっとですよ。八月十日の新聞までに、八人だったわ。」
と仰いで目を細うして言った。幼い時から、記憶の鋭い婦人である。
「じゃ、九人になる処だった。貴女の内へ遊びに行くと、いつも帰りが遅くなって、日が暮れちゃ、あの濠端を通ったんですがね、石垣が蒼く光って、真黒な水の上から、むらむらと白い煙が、こっちに這いかかって来るように見えるじゃありませんか。
引込まれては大変だと、早足に歩行き出すと、何だかうしろから追い駈けるようだから、一心に遁げ出してさ、坂の上で振返ると、凄いような月で。
ああ、春の末でした。
あとについて来たものは、自分の影法師ばかりなんです。
自分の影を、死神と間違えるんだもの、御覧なさい、生きている瀬はなかったんですよ。」
「心細いじゃありませんか、ねえ。」
と寂しそうに打傾く、面に映って、頸をかけ、黒繻子の襟に障子の影、薄ら蒼く見えるまで、戸外は月の冴えたる気勢。