Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

おんなごころのつよければ

女心の強ければ

豊島 与志雄

Lesen Sie 女心の強ければ (おんなごころのつよければ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.011 Zeichen · 94 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「それでいいですよ。御心配いりません。大丈夫です。」

久恵と別れて、長谷川は独り、大丈夫、大丈夫、と胸の中で繰り返した。それに気付いて、自ら苦笑した。

明るい気持ちになった。先刻の、人形のことで敏子と交わした対話が、ぽつりと火をともしたように胸に浮んだ。敏子の姿がその明るみの真中にいた。別にどうということはない。ただ無邪気な明朗さだ。

長谷川はまた酒を飲みたくなった。流しの自動車をひろうため、明るい大通りの方へ向って行った。だが、敏子を中心にする明るみは、逆に薄らいでゆき、仄暗い影が胸に立ちこめてきた。その薄暗い中で、先日、柿沼と別れ際にじっと顔を見合った時のことが、ありありと蘇ってきた。格闘、そんなばかなことにはなり得ないが、何等かの意味での対決が、まだ前途に残されてるようだった。大丈夫、と彼はまた胸の中で独り呟いた。自動車をひろって、彼は新橋近くまでゆき、その晩ひどく酔っぱらった。

酔いの中に、幻想がわいた。千代乃のこと、柿沼のこと、松木のこと、嫂のこと、敏子のこと、石山のこと、その他、そしてそれを中心にした情景が、現われては消えた。嘗て彼は、小説を書こうと思い、種々の構想を建てたり崩したり再建したりして、それを一々石山に相談したところ、石山からひどくけなされた。