Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おんなごころのつよければ

女心の強ければ

豊島 与志雄

Lesen Sie 女心の強ければ (おんなごころのつよければ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.011 Zeichen · 94 Bildschirme

Aozora Bunko

千代乃が出京したら、手近なところに落着いて、ゆっくり話し合いたいと思っていたのに、慌しく引っ張り出されてしまった。都内はいやだという彼女の気持ちも分らなかった。何事か起ったに違いないが、彼女は少しも匂わせなかった。まあどうにでもなれという棄鉢な思いに、長谷川は身を託した。

藤色お召のすらりとした和服姿で、彼女は橋のたもとに立って、深い川面を眺めていた。小型の鞄をさげていた。長谷川の姿を見て、いたずらそうな眼付きで笑った。

「それ、僕が持ちましょう。」

小さな鞄だが、何かぎっしりつまっていて重かった。代りに、彼女は長谷川の折鞄を持った。

電車はすいていたが、車内では、話すこともなかった。

電車から降りて、淋しい田舎町を少し行き、ほかの電車の踏切を過ぎ、その先を左へ折れると、河岸の堤防に出た。目指す割烹旅館はまだだいぶ遠そうだった。夕陽が赤く、ゆったりと流れる河水に映えていた。

「わたし、これから、洋服にしようかと思うの。おかしいでしょうか。」

河の方を眺めながら、千代乃はそんなことを言った。

「夏服はいやだけれど、これからは、洋装もいいわね。」

「趣味としては、そうだけれど、実際は、あべこべでしょう。