Japanische Klassiker mit Furigana
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おんなごころのつよければ
女心の強ければ
豊島 与志雄
Lesen Sie 女心の強ければ (おんなごころのつよければ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.011 Zeichen · 94 Bildschirme
眠るともなく、とろとろとしているうちに、どちらからともなく、互の足先が触れ、次で、互の手先が触れ、それから、どちらが抱き寄せたのか寄り添ったのか、深夜のなかで分らなかった。
夜明け近い頃、長谷川は遠く鶏の声を聞いた。それと共に、千代乃の言葉をも聞いた。
「御免なさい。わたしが誘惑したのよ。だから、あまり深く想っちゃいけないわよ。」
それも、果して彼女が言ったのだろうか。言ったとしても、どういう意味だろう。謎の深まってゆくような気持ちのなかで、長谷川はぐっすり眠った。
二
ひどい濃霧だった。
遠くの山はもとより、近くの丘も木立も、一切見えなかった。外を歩いていると、牛乳の中に浮いているような心地で、霧は眼にしみ、鼻をふさいだ。
千代乃が出かけてるので、長谷川は遠くへは行けず、家の近くをぶらついた。それから、小さな橋の欄干にもたれて、霧の下を流れる水に見入った。
ふと顔を挙げると、霧の帷のかなたに、千代乃の姿が、透し絵のように浮き出していた。顔の表情ははっきりせず、洗い髪を左肩に乱しかけ、右手に風呂敷包みらしいものをさげ、腰から下はぼやけている。