Japanische Klassiker mit Furigana
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じょせいと
女生徒
Lesen Sie 女生徒 (じょせいと) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.101 Zeichen · 78 Bildschirme
この百合は、きのうの夕方、駅のほうまで散歩していって、そのかえりに花屋さんから一本買って来たのだけれど、それからは、この私の部屋は、まるっきり違った部屋みたいにすがすがしく、襖をするするとあけると、もう百合のにおいが、すっと感じられて、どんなに助かるかわからない。こうして、じっと見ていると、ほんとうにソロモンの栄華以上だと、実感として、肉体感覚として、首肯される。ふと、去年の夏の山形を思い出す。山に行ったとき、崖の中腹に、あんまりたくさん、百合が咲き乱れていたので驚いて、夢中になってしまった。でも、その急な崖には、とてもよじ登ってゆくことができないのが、わかっていたから、どんなに魅かれても、ただ、見ているより仕方がなかった。そのとき、ちょうど近くに居合せた見知らぬ坑夫が、黙ってどんどん崖によじ登っていって、そしてまたたく中に、いっぱい、両手で抱え切れないほど、百合の花を折って来て呉れた。そうして、少しも笑わずに、それをみんな私に持たせた。それこそ、いっぱい、いっぱいだった。どんな豪勢なステージでも、結婚式場でも、こんなにたくさんの花をもらった人はないだろう。