Japanische Klassiker mit Furigana
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めがみ
女神
Lesen Sie 女神 (めがみ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.046 Zeichen · 14 Bildschirme
私のほうで少しあわて気味になり、
「あの、細田さん、すこし興奮していらっしゃるようですけど。」
「はあ、そうでしょうかしら。」
と言って笑った。
「大丈夫なんですか?」
「いつも、おどけた事ばかり言って、……」
平然たるものである。
この女は、夫の発狂に気附いていないのだろうか。私は頗る戸惑った。
「お酒でもあるといいんですけど、」と言って立ち上り、電燈のスイッチをひねって、「このごろ細田は禁酒いたしましたもので、配給のお酒もよそへ廻してしまいまして、何もございませんで、失礼ですけど、こんなものでも、いかがでございますか。」
と落ちついて言って私に蜜柑などをすすめる。電気をつけてみると、部屋が小綺麗に整頓せられているのがわかり、とても狂人の住んでいる部屋とは思えない。幸福な家庭の匂いさえするのである。
「いやもう何も、おかまいなく。私はこれで失礼しましょう。細田さんが何だか興奮していらっしゃるようでしたから、心配して、お宅まで送ってまいりましたのです。では、どうか、細田さんによろしく。」
引きとめられるのを振り切って、私はアパートを辞し、はなはだ浮かぬ気持で師走の霧の中を歩いて、立川駅前の屋台で大酒を飲んで帰宅した。