Japanische Klassiker mit Furigana
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こうい
好意
豊島 与志雄
Lesen Sie 好意 (こうい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.059 Zeichen · 40 Bildschirme
敏子さんは喫驚して眼を見張った。
「吉岡はそんなことを私へは少しも申しておりませんでしたが……。」
河野は一寸驚いたが、次第に頭を垂れていった。
「それも吉岡君の好意からだったのでしょう。私に気まずい思いをさせないようにと、あなたにまでも隠しておいてくれたのだと思います。」
そして彼は、吉岡から八百円借りた顛末を話した。――それは四年前の年の暮、河野が最も窮迫した生活をしてる時のことだった。友人の紹介でうっかり借りた高利の金がつもって千円余りになっているのから、厳しい督促が来て、遂に執達吏を向けられてしまった。僅かな家財道具は勿論彼が自分の生命としてる製作品にまで、差押の札が貼られた。そのうちの一枚の静物画は、或人の頼みで苦心に苦心を重ねて仕上げたもので、その報酬を方々に割りあててどうにか年を越す予定にしていたものである。それが差押えられては、無一文のままで年末と正月とを迎えねばならなかった。もう二三ヶ月分もたまってる家賃、諸払い、方々への少しずつの義理、僅かながらの正月の仕度、流質の通知を受けてる質屋への利払い……そんなもののことを一度に考え廻しながら、彼と妻とは、幼い子供をかかえて途方にくれた。