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Japanische Klassiker mit Furigana

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ようそうき

妖僧記

泉 鏡花

Lesen Sie 妖僧記 (ようそうき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.972 Zeichen · 12 Bildschirme

Aozora Bunko

その尖は少しく曲み、赤く色着きて艶あり。鼻の筋通りたれば、額より口の辺まで、顔は一面の鼻にして、痩せたる頬は無きが如く、もし掌を以て鼻を蔽えば、乞食僧の顔は隠れ去るなり。人ありて遠くより渠を望む時は、鼻が杖を突きて歩むが如し。

乞食僧は一条の杖を手にして、しばらくもこれを放つことなし。

杖は※状の自然木なるが、その曲りたる処に鼻を凭たせつ、手は後様に骨盤の辺に組み合せて、所作なき時は立ちながら憩いぬ。要するに吾人が腰掛けて憩うが如く、乞食僧にありては、杖が鼻の椅子なりけり。

奇絶なる鼻の持主は、乞丐の徒には相違なきも、強ち人の憐愍を乞わず、かつて米銭の恵与を強いしことなし。喜捨する者あれば鷹揚に請取ること、あたかも上人が檀越の布施を納むるが如き勿体振りなり。

人もしその倨傲なるを憎みて、些の米銭を与えざらむか、乞食僧は敢て意となさず、決してまた餓えむともせず。

この黒壁には、夏候一疋の蚊もなしと誇るまでに、蝦蟇の多き処なるが、乞食僧は巧にこれを漁りて引裂き啖うに、約ね一夕十数疋を以て足れりとせり。

されば乞食僧は、昼間何処にか潜伏して、絶えて人に見えず、黄昏蝦蟇の這出づる頃を期して、飄然と出現し、ここの軒下、かしこの塀際、垣根あたりの薄暗闇に隠見しつつ、腹に充たして後はまた何処へか消え去るなり。